機械系の違和感
機械工学は経験値の寄せ集め?
就職してから学んだ率直な感想は、「機械工学(特に伝熱工学)って学問なのか?」
ということです。自分達の試験を無次元数でまとめることが研究なのか?そして生まれたごく限られた適用範囲の式を製品に適用して数値化することがエンジニアなのか?と疑問に感じ、正直に言って肌に合わないと思いました。p-h線図だって、これで新規にわかることはあるのか?皆がこの絵に経験を詰め込んでいるだけではないか?考え方ではなく見せ方の話ではないのか?
今でも上の問いに答えられていません。教科書レベルの機械工学は情報系と比較して必要な基礎学力は低いですが、情報系の人に敬遠されるのは、教科書や学問そのものに論理展開が見えにくいからではないかと思います(あくまで、頭の足りない私の意見です)。
熱伝達
熱伝達の式は一見、単純
熱伝達の式は下です。覚えましょう。
\begin{align}
Q = Ah (T_\mathrm{high}-T_\mathrm{low})
\end{align}
さて、一見、熱伝導の方程式よりも単純に見えますよね。あとは、「熱伝達率」なるものネットで調べてしまえばすぐ答えが出そうです。ふむふむ、空気が自然対流しているときの熱伝達率は3から10くらい。
確かに、家の断熱計算をする上ではその程度の数字を覚えておけば十分かもしれませんね。ただし「熱伝達率」は、吹いている風速など、様々な条件で変化します。
今後、「熱伝達率」を求める方法を書いていければと思います。
熱伝導
覚える必要があるのは1つの方程式だけ
ほとんどの仕事では,会話の最中やメールのやりとりで 「あたりをつける」能力が求められますよね。熱伝導に関して「あたりをつける」ために覚えるべき知識は,下式でとりあえず必要十分と思います。下式は熱が定常的かつ一次元的に進行する仮定で熱移動量と温度の関係をあらわしています。
\begin{align}
Q = A \frac{\lambda}{t}(T_\mathrm{high}-T_\mathrm{low})
\end{align}
強いてもうひとつ使う式があるとすれば,定常的かつ円筒の径方向に進行する仮定のもとの熱移動量と内外の温度の関係をあらわす,下式です。
\begin{align}
Q = \frac{2 \pi k L (T_\mathrm{high} - T_\mathrm{low})}{\ln{(d_\mathrm{out}/d_\mathrm{in})}}
\end{align}
私の関わってる範囲でいうと,円筒の式を使う機会はたくさんありますが,計算結果としてそこまで重要でない場合がほとんどです。理由は,大きく分けて下記3つあり,結果的にとの温度差が殆どつきません。
- パイプの厚みは,構造物のサイズに対して(計算する伝熱経路に対して)十分薄い場合が多い。
- パイプは熱伝導率の大きい金属で作られる場合が多い。
- パイプの径方向の熱抵抗は,パイプ管外・管内の流体の対流熱伝達に比べて十分小さい場合が多い(後日きちんと書きます)。
使えるようになるには物理量のオーダーを覚えることが大事
熱伝導は熱設計に活用するという意味では大変単純に利用することができますが,熱伝導現象そのものが単純だというわけではありません。それは全ての物理現象に言えることと思います。
一方で,エンジニアとして熱伝導計算を行えるようになるためには,伝熱の教科書の多層平板や多層円管の問題をやについて解いても身につきません。材料の熱伝導率と厚みと熱移動量のイメージを持つことが大切です。金属・樹脂・断熱材・木など,だいたいの値を把握し,簡単な式で大体の熱移動量が電卓ですぐ出せるようになってください。熱伝導は簡単だからこそ,手計算できることが重要です。
伝熱工学の事始め
伝熱の三形態
熱の伝わり方には以下,三形態があります。
- 熱伝導 (Thermal conduction)
- 熱伝達 (Heat transfer)
- 熱放射 (Thermal radiation)
今後,私がいちエンジニアとして必要となった知識を記していきます。 一緒に学んでいきましょう。
私が社会人となって初めて勉強した中では,下記書籍を一番参考にしました。数式が正確に書いてあり,品のある読みやすい本だと思います。
- 作者: 日本機械学会
- 出版社/メーカー: 日本機械学会
- 発売日: 2005/04/01
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また,私のバックグラウンドとして連続体の力学は少し学んでいたので,対流熱伝達に関して移動現象論の本がわかりやすかったです。
- 作者: 平岡正勝,田中幹也
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
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私がつまづいたところ,自分なりの解釈を,今後書いていけたらと思っています。